『プロテインって筋肥大にどのくらい効果があるの?』『筋肥大に最も効果的なプロテインの種類を知りたい』
今回はこういった悩みを抱えるあなたにむけて書いています。プロテインにはホエイ、ソイ、カゼインなど色々と種類がありますが、プロテインの種類が多すぎてどれが自分に合っているのか分かりづらくありませんか。
プロテインの材料や作り方によって、プロテインに含まれる成分が変わります。成分によっては、筋肉の成長させやすいものとそうでないものもあります。
最近ではプロテインはコンビニやスーパーでも手軽に買うことができます。お店によってはプロテインコーナーがあり、種類も豊富に取り揃えられていることもあります。
そこで本記事では、プロテインの種類が筋肥大にどれくらい影響を及ぼすのかについて調査した論文を解説していきたいと思います。
本記事は完璧ではありません。論文内で述べられていることを紹介してはいますが、ここでの結果が全てではないことをご了承ください。
本記事を読めば次のことが分かります。
本記事まとめ
- プロテインの種類について
- 本記事で紹介する論文について
- プロテインの種類と筋肥大への影響について
それでは上記について深堀しながら解説していきたいと思います。
プロテインの種類について
プロテインには原材料によって大きく、次の4通りに分けられることが多いです。
プロテインの種類
- ホエイプロテイン
- カゼインプロテイン
- ソイプロテイン
- ピープロテイン
他にもありますが、ここでは代表的なものを挙げさせていただきました。先程挙げた4種類のプロテインの原材料や特徴を下の表にまとめてみました。
最も一般的に流通しているのが牛乳を主原料としたホエイプロテインとカゼインプロテインです。これらはヨーグルトで例えると非常に分かりやすく、ホエイプロテインは上澄み液、カゼインプロテインは白い固形物に当たります。
その他には植物性たんぱく質を主原料としたソイプロテインやピープロテインなどがあります。日本では大豆の生産量が高く、ソイプロテインが主流であるのに対し、アメリカではエンドウ豆の生産量が高いので、ピープロテインの方が流通しているようです。
本記事では上記の中でも日本でも馴染みのあるホエイプロテイン、カゼインプロテイン、ソイプロテインの比較を解説します
本記事で紹介する論文について
今回紹介する論文はNutrientsという学術誌に掲載されているもものを引用しています。Nutrientsとは、栄養がヒトに与える影響や栄養状態を評価するための新しい方法を解説していることを特徴とした学会誌です。
論文を評価する指標であるインパクトファイクターは5.429です(2022年9月時点)。
今回紹介する文献はこちらです。残念ながら、ホエイ、カゼイン、ソイをまとめて比較した論文は見つけることができませんでした。そこで、本記事では次の2つの文献からホエイ、カゼイン、ソイの比較を行っていきたいと思いま。。
紹介する論文について
本記事では①の論文の筆者をMobleyら、②の論文を筆者をHartmanらと表記しています。
そしてここでは、上記の2つの論文をもとに議論を深めていきたいと思います。
論文内で記載されている内容について
ホエイプロテインとソイプロテインを比較した論文
調査方法
それでは、まずはホエイプロテインとソイプロテインを比較した論文について紹介したいと思います。
この論文で調査に参加した人の情報はこちらです。
調査に参加した人の情報
- 被験者数:75人
- 性別:男
- 平均年齢:21±1歳
- トレーニング経験:なし
それぞれのグループの被験者数と平均値(除脂肪量、スクワット、ベンチプレス)は次の通りです
グループ | 被験者数 | 除脂肪量 | スクワット | ベンチプレス |
マルトデキストリン (PLA) | 15人 | 58±4 | 70±8 | 66±8 |
ロイシン (LEU) | 14人 | 57±3 | 83±12 | 67±11 |
ホエイプロテイン コンセントレート (WPC) | 17人 | 59±4 | 82±11 | 68±8 |
ホエイプロテイン ハイドレート(WPH) | 14人 | 59±5 | 79±14 | 73±9 |
ソイプロテイン (SPC) | 15人 | 59±4 | 82±10 | 65±7 |
グループ分けの説明
- マルトデキストリン:ブドウ糖
- ロイシン:必須アミノ酸の1種
- ホエイプロテイン コンセントレート:たんぱく質量が80%のホエイプロテイン
- ホエイプロテイン ハイドレート:たんぱく質量が90%のホエイプロテイン
- ソイプロテイン:たんぱく質量が80%のソイプロテイン
これらサプリメントはトレーニング中と就寝前の1日2回摂取、トレーニングがオフの日は1日のどこかと就寝前の2回
調査期間は12週間にわたって、次のようなスケジュールで行われました。
T1は1回目のトレーニング、T38は38回目のトレーニングの意味です。
スケジュール
- T1は1回目のトレーニング、T38は38回目のトレーニングを意味しています
- トレーニング初日の4~5日前は運動を控えた状態にした
- 各トレーニングの間隔は2~3日であり、被験者達はこれを12週間続けて合計39回のトレーニングを行った
- トレーニング1回目のT1に体組成測定を行い、12週間後のT39と比較した
- トレーニング2回目のT2にスクワット、ベンチプレスを測定し、T38と比較した
結果
まず、トレーニング強度の結果を上図に示します。左図がスクワット、右図がベンチプレスの結果を示しており、青軸がT2、橙色がT38の時に計測した値を示しています。全てのグループでスクワットとベンチプレスがともに向上する結果が得られております。一方で、グループ間での向上に差は見られませんでした。
次に、体組成の測定結果を示します。左図が除脂肪量の変化、右図が外側広筋の変化を示しており、青軸がT1、橙色がT39の時に計測した値を示しています。 こちらも全てのグループにおいて、筋量の増加と筋肥大効果があることを確認していますが、グループ間での有意な差は見られません。
ホエイプロテインとソイプロテインはトレーニング強度、筋肥大ともに大きな変化は見られない
カゼインプロテインとソイプロテインを比較した論文
それでは、次にカゼインプロテインとソイプロテインを比較した論文について紹介したいと思います。
この論文で調査に参加した人の情報はこちらです。
調査に参加した人の情報
- 被験者数:56人
- 性別:男
- 年齢:18~30歳
- トレーニング経験ありのボディビルダー
この調査では大学の男子生徒75人が選ばれ、選ばれた75人は次の5グループに分けられました。
それぞれのグループの被験者数は次の通りです。
グループ | 被験者数 |
コントロール | 19人 |
ミルク | 18人 |
ソイプロテイン | 19人 |
グループ分けの説明
- マルトデキストリン:ブドウ糖
- ミルク:500 mlの牛乳
- ソイプロテイン:500 mlのソイプロテイン入りドリンク
これらサプリメントはトレーニング直後とトレーニング1時間後の計2回摂取
調査期間は12週間にわたって、次のようなスケジュールで行われました。
スケジュール
- トレーニングは週5回実施
- 調査前後で筋肉量と最大挙上重量を測定
- 筋肉量は除脂肪体重、最大挙上重量はインクラインレッグプレスにて計測
結果
上の図に調査前後での除脂肪体重と最大挙上重量の増加度合を示しています。preが調査前、postが調査後です。白色がコントロール群、赤色がミルク群、緑色がソイプロテイン群を示しています。
この結果、全てのグループで徐脂肪体重と最大挙上重量の増加が見られました。ミルクとソイプロテインを摂取したグループはコントロール群に比べ、増加度合も大きくなっていることが確認できます。
ミルクとソイ比較しますと、最大挙上重量に変化は見られないものの、徐脂肪体重においては、ミルクを摂取したグループで有意に増加していることを確認しました。
ミルク(ホエイ+カゼイン)はソイプロテインに比べて筋肥大効果が高い
まとめ
いかがでしたでしょうか^^
本記事ではプロテインの種類が筋肥大にどれくらい影響を及ぼすのかについて調査した論文を解説しました。
本記事まとめ
- プロテインの代表的な種類にはホエイプロテイン、カゼインプロテイン、ソイプロテイン、ピープロテインが挙げられる
- ホエイプロテインとソイプロテインは筋肥大において有意な差は見られない
- ミルク(ホエイプロテイン+カゼインプロテイン)とソイプロテインの比較ではミルクを摂取したグループで除脂肪体重が増加した
つまり、これらをまとめると次のような結論に結び付けることができないでしょうか
カゼイン>ホエイ=ソイの順で筋肥大効果があると推察される
ホエイ、ソイ、カゼインは体内に摂取してからの吸収速度にも大きな違いがあります。
上の図はホエイ、カゼイン、ソイプロテインが体内に吸収後のたんぱく質合成率の経時変化を表していますが、同じ量のたんぱく質量のプロテインを摂取した場合、ホエイプロテインやソイプロテインは摂取後速やかに吸収されるのに対して、カゼインプロテインはゆっくりかつ長時間にわたり吸収されます。
体内の吸収速度はホエイ=ソイ>カゼインの順で早い
吸収速度が直接筋肥大に影響を与えたのかは分かりませんが、これも1つの理由なのかもしれませんね。
他にセット数と筋肥大に関する記事も上げているので是非見てみてください^^
本記事がみなさんのトレーニングやダイエットの一助となれば幸いです。